普段スーツを着る方にとって、自分の着用するスーツのボタンの数について考えたことがある人はいるだろうか?また、同時にタキシードのボタンの数について考えたことはあるだろうか?
実はスーツの場合は大半が2つボタン、3つボタンがほとんど、タキシードの場合は1つボタンが主流である。(まれに60年代のアイビースタイル愛好家や洒落好きな方は「3つボタン段返り」の方もいるが)
今回はスーツと合わせて、結婚式で着用するタキシードのボタンに関するルールをレクチャーするのでオーダーメイドタキシードを検討中の方は是非知っておいて欲しい。
■スーツ(タキシード)のボタンの留め方のルール
2つ以上のボタンが付いたジャケットの場合は、一番下のボタンは開ける
たまに街を歩いているとスーツのボタンを全て留めて歩いている人がいるが、「まあなんと窮屈で歩きにくそうなんだろう」と思うことがある。
現在のスーツ(タキシードも同様)はフロントラインがウエストあたりから裾にかけて緩く弧を描くように広がっていて、物理的に一番下のボタンが掛けられない(掛けにくい)ようなデザインになっている。
よって一番下のボタンを掛けてしまうと、スーツに変なシワが入ってしまうのだ。このレオナルド・ディカプリオの着こなしが悪い例だ。
以来、現在に至るまで、普通の上着では最下位ボタンは掛けないものがデフォルトになっている。なおこの一番下のボタンを付けないルールを「アンダーボタンマナー」と呼ぶこともある。
タキシードなど1つボタンのジャケットはボタンを必ず留める
スーツの1つボタンというのはかなり攻めた仕様だが、タキシードの場合は1つボタンが普通だ。
このボタンの数には以下の考え方がある。
1つには、「ボタンは強度を保つための役割」があると考えられていること。ボタンの数が多いほうが身頃をしっかりと固めることが出来るが、タキシードのような舞踏会や結婚式では、強度は必要なくボタンの数は1つでよい。
これはタキシードのポケットのフラップ(蓋)が不要なのと同じ考え方である。(舞踏会や結婚式ではホコリが入る心配がないため)
もう1つはエレガンスとして限りなく余計な装飾を省くといった考え方もあり、タキシードの場合はボタンは1つが好まれている。
タキシードのボタンを留めない人もいる?
まれにタキシードのボタンを留めない人もいるが、これはファッションとしてのスタイリングであって、公式のルールとは異なる。披露宴など重要な場面では絶対NGだが、式後のカジュアルな時間であればOKなのかもしれない。
タキシードのボタンは1つ。2つボタンのデザインも存在はしている。
通常はこのような1つボタンが主流。結婚式など公式な場ではボタンを留めること。
タキシードなのにボタン2つ?
例外的にタキシードなのにボタンが2つ、しかもボタンを両方留めてしまうスタイリングもある。写真はバーバリーのタキシード。
これはあくまで例外的で、コレクション系のブランドの場合はファッションのスタイリングの一貫としての提案であり、これはこれでブランドとしてのコンセプチュアルなデザインなので有りだろう。
ファッションとはルールに囚われることなく、自由な発想も大事だからだ。
ただしフォーマルな場所である結婚式の場合「ボタン留めちゃってますよ」とプランナーさんから慌てて指摘されることも覚悟を。。。
おまけ:段返り三つボタン
段返りの3つボタンジャケットでは、一番上のボタンと一番下のボタンを開けるのがルール。段返りとは、ラペルの折り返し部分がボタンを覆っているかどうか、で見極めてほしい。