現代のタキシードが生まれたのは1900年以降
結婚式や夜のパーティーくらいでしか着ることのないタキシード、しかし今のタキシードの原型はスモーキングジャケットであったのだ。後編では現在のタキシードへの進化について紹介しよう。今回、こちらの記事の参考にしたのはニューヨークにて1903年よりタキシードの生産を行っているAfter Six Tuxedoの記事である。
歴史が物語るタキシードの変遷 1945~
1945年といえば第二次世界大戦後である。戦争のほとぼりも冷めた頃、人々は新たな夜のパーティーシーンを作り上げていった。そんな時に着用したのはスモーキングジャケットの前衛であるショールカラーのタキシード。色も19世紀に流行った赤などの華美なものから徐々にブラックが生まれ始めた頃であった。
映画俳優達によるタキシード人気 1955~
この時もまだショールカラー(ヘチマ襟)がメインのデザインだったようだ。いつの時代も人々が憧れるのはスターだ。娯楽の少なかった当時最もファッションアイコンとして活躍したのは映画のスターだった。広告のキャッチには「銀幕のスターが愛するタキシード、俳優達はアレックギネス、, ジェフ・チャンドラー、ジョン・ペイン」とある。
アメリカに高度経済成長期がやってきた 1960~
ブラックに落ち着いたタキシードは高度経済成長期の並に揉まれてどんどん加速していった。人々は景気のよさとともに「より派手で目立つ」ものを求めて行ったのだ。ニューアメリカへの舵取りとともに、カジュアルファッションもフォーマルファッションも新しい色を求め始めた。この時の広告は「フレッシュなカラーを着よう!インフォーマル(堅苦しくない)なフォーマルウェアでリフレッシュ!」
ディスコブームの到来でどんどん派手に 1970~
アメリカは成長期真っ只中、そんな中でタキシードはどんどん派手になっていった。映画に変わって娯楽の中心はテレビへ。そんな中で発色のよいカラフルなタキシードはTVスターに愛用されるものになっていく。ちなみにこの時代の結婚式の衣装も黒のブラックスーツやタキシードからカラフルなパウダーブルーの衣装などに変遷していく。
クラシックへの原点回帰 1980~
アメリカでは高度経済成長、ディスコブームの終焉と合わせるように、カラータキシードなどの流行は終わっていった。丁度同時期に大人気のテレビドラマであった「マイアミバイス」などの主演俳優がこぞってクラシックなタキシードを着用。再び本来のフォーマルウェアの姿に戻っていく。一方日本はアメリカでは既に時代遅れとなった金銀といった派手なタキシードがどんどん増えていった。
再び一気にクラシック路線を突き進む 1990~
意外なことにアメリカでは1980年のクラシック回帰から現代に至るまで大きな変化は見られず、クラシックの道をまっすぐと進んでいる。フォーマルウェアのルールこそ簡素になったものの、今アメリカで主流のブラックスーツやシンプルなブラックタキシードはやはり永遠のフォーマルウェアとして今につながっている。