春を迎えて結婚式会場探しも終わり、あとは衣装というときに、レンタルショップのものではなかなか良いものがないというのはよくある話しだ。
そこで「タキシードはオーダーにしてみよう」というところまできたら、次はどこでタキシードを仕立てるのかが重要になってくる。
例えば、街のスーツ一着19000円のお店の簡易オーダーを利用するのか、またはUNITED ARROWSやBEAMSのようなセレクトショップのオーダーフェアを利用するのか、もしくは専門店で大枚をはたいてオーダータキシードを作るのかによって仕上がりは全く異なる。
どれも同じオーダーメイドとはいえ、一長一短があり、「どれが正しい」という答えはない。
しかし価格に差があることは間違いないのである。ではその差はどこからくるのか気になったことはないだろうか?ここではその価格の違いの大部分を締めるオーダーの種類について解説する。
■オーダーの対義語は既製服
一般的に、既成品や「つるし」と言われる洋服のことをレディメイド(またはレディートゥーメイド)と言い、注文してから仕立てる洋服のことをオーダーメイド(またはビスポーク)と言う。
ちなみに、これらは英語だが、フランス語ではそれぞれプレタポルテ(既製服)、オートクチュール(仕立て服)という。
その中でもオーダーメイド(ビスポーク)については、どこまでオーダー出来るのかというところが価格の違いとなって反映される。
■価格と質の違いはオーダーメイド具合のレベル
そのオーダーメイドの中でも仕立ての細かさ、価格などで、大きく三つのランクに分かれる。これはスーツにかぎらず、新郎のオーダータキシードでも当てはまるので是非覚えておこう。
①パターンオーダー(最も手軽)
元々の既成品から生地の選択、サイズを調整をして作るものをパターンオーダーという。価格についてはオーダーメイドの中では最も安い。
実はパターンオーダーにも様々な種類が存在している。
①生地の選択だけを行う
②サイズ調整だけを行う
③生地の選択とサイズ調整の両方を行う
①はまだわかるとして、②については「ではどのくらいサイズ調整をしてくれるのか?」ということになる。これについては各社多少の差こそあれど、「そで、パンツの丈、肩長さを調整する」程度のものが多い。
30000円程度でオーダースーツ作りますと謳っている店については、ほぼパターンオーダーだろう。この場合はオーダーメイドと思って意気込んでいるとがっかりする場合が多く、お直ししに行くという気持ちで望んだほうがよい。
なんとなくオーダー気分を味わう、もしくはお直し代込みでスーツを買う、という感覚が近い。結婚式でタキシードを仕立てるには少々物足りないだろう。
②イージーオーダー(中堅~上級レベル)
生地の選択やボタン、裏地を選ぶのはパターンオーダーと同じだが、縦、横、奥行きと三方向のサイズの調節が出来るのがイージーオーダーだ。
オーダーのレベルは中級~上級までとしたのは、このイージーオーダーは価格のバラつきが多く、5万円から13万円程度まであり、その分採寸や補正のレベルが異なるからだ。
例えば麻布テーラーなど中堅クラスのオーダースーツ屋であれば採寸箇所は10箇所程度で、その分価格もそれなりで作ることができる。所要時間も30分程度。
一方 THE GENTS, Asteirといった13万円クラスのオーダータキシードサロンになると一対一で2時間程度かけて約30箇所程度を採寸する。その他にも体のクセ取りやシワ取りなど細かい補正をいれていくため満足度としては高くなる。
型紙についてはテーラーによっても異なるが、あらかじめいくつもの型紙を用意して、最も近いものに補正を加える場合もあれば、採寸データを入力して自動的に型紙を作成することもある。(CAD)。
10万以上だせば、フルオーダーに近いサイズ感で仕上げることも可能である。
③フルオーダー(最上級レベル)
全てゼロから作るのがフルオーダーだ。フルオーダーの大前提として、基本となる型紙から作ることをフルオーダーと呼ぶ。もちろん生地やボタンやデザインはすべて自由に設定できる。
その後全て手縫いで仕上げるのか、機械(ミシン)で仕上げるのかでまた金額が異なってくる。
仮縫いについて
フルオーダーでは必ずついてくるのは仮縫いだ。仮縫いというのは実際に本番用の生地を組む前に試着することで、フィット感をより精密に仕上げることや、仕上がりの事前確認が可能になる。
もっとも手の込んだオーダーメイドのタイプであるが、とても手がかかるので価格は最低でも20万円以上~と高く、銀座の高級店になると100万円近くなる。仮縫いについてはイージーオーダーのお店でも+2万円程度でやっていることが多いので確認してみよう。
最後に大切なこと
オーダーにも様々な種類があることがお分かり頂けたと思う。あとは予算とどの程度まで完成度を上げるかによって決めることが重要だ。またフルオーダーだからカッコいいというわけでは決してないのでご注意願いたい。